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2015/12/09

金曜3限概論発表

1回生のオートリ改め大鳥翔です。今回の概論は「キュビスムの誕生」で発表しました。

◇1:はじめに
 先日、美術館に行った際に絵画への見方が大きく変わった。今まではその意味すら気にしたこともなかったが、少し理解してみようと心が動いたのである。そこで、数ある絵画の中でも異彩を放つキュビスムという技法を使用したものへ特に興味を抱き、どのような流れを経てこのような奇妙な技法が誕生したのか調べてみることにした。

◇2:キュビスムとは?
 「キュビスム」の元となったものは、アンリ・マティスという画家が友人に対してジョルジュ・ブラックの絵の説明で使用した「小さなキューブ(立方体)」である。しかし、この文字通りに意味を捉えてしまうのは誤解を生んでしまう。いわば、「キュビスム」とは概念のようなものであり、「キュビスム」を代替する言葉が存在しないために使われ続けているものである。
 「キュビスム」というものを簡潔に示すなら、「1つの中心的視点から物体を見るかわりに、一時に1つ以上の視点から物体を描く」というものである。

◇3:パイオニア
 (1) ジョルジュ・スーラ
   まだ、キュビスムの概念すらない頃に立体を平面に描くことと苦闘し始めた。しかし、彼は若くして亡くなったため作品は少な    い。さらに実際には、彼の苦闘はすでに古代エジプトにおいてもみられた新しいものではなかった。
 
(2) ポール・セザンヌ
   彼の芸術を動かしていたのは形態に対する喜びであった。彼は対象を物としてのその全的な美しさのもとにとらえ、これを絵画化しようとした。
<技法>
  絵を見る人が絵の中の対象より高い位置にあるかのように描く
              ↓
  対象の形態がより一層強調

<苦闘>
作品の構築において、色彩の調和のためにその色彩を変えるのと同様に、構築するために形態を変えた。
    
形態を重視する彼と矛盾
 
(3) アンドレ・ドラン
  上のセザンヌの後継者的位置にあたる。
<技法>
・構築
  対象の「現実の」形態と「現実の」色彩とを与えうるような形で構成することに努力
・光
  対象の形態を最も効果的に生かすよう駆使

◇4:アヴィニョンの娘たち
  一般にキュビスムの端緒とされる作品は1907年にパブロ・ピカソによって描かれた『アヴィニョンの娘たち』である。
 (1) 人物
  (a) 「エジプト様式」
    うしろの壁に密着し、横顔に前向きの眼がついている。
  (b) イベリア風
    古代イベリアの彫刻から通ずるものであるが、この作品で始めたものではなく、すでに木彫品において取り入れられていた。さらには、古代スペイン的なもの、とくにカタルーニャ壁画はこの作品と類似のモチーフが見いだせる。
  (c) アフリカ式
    ピカソは、1900年のパリ万国博覧会のときからすでにアフリカの仮面を知っていたとされる。しかし、公にはアフリカ彫刻の影   響を否定したことになっている。
 
(2) 構成
 (a) アンドレ・ドランから
   ピカソはアンドレ・ドランの『水浴する女たち』から、自分にピッタリくる見方を見い出した。この絵には、『アヴィニョンの娘たち』の左半分の画面で暗示している「三美神」のテーマのパロディを含んでいた。さらに、ドランのもう1つの特徴、「プリミティヴ」に造形されていることに『3人の踊り子』から意識し始めるようになったとされる。
 (b) 『トルコ風呂』から
  ピカソはジャン=アウグスト・ドミニク・アングルの『トルコ風呂』の非アカデミー的なくつろいだ雰囲気と絵画上の自由さに魅せられた。この影響を受け、ピカソは「反群像画」という緻密ではない、ばらけた人物配置を試した『ハーレム』を描いた。後に「反群像画」は『アヴィニョンの娘たち』で具体化されている。


◇5:まとめ
 キュビスムは過去の様々な技法の集大成でもあり、まったく新しいものでもあった。
『アヴィニョンの娘たち』頃の作品に非ヨーロッパ世界の土着の文化に対する考えが見られ
ることに当時の時勢を感じることができる。

◇6:おわりに
 対象をどのようにキャンバス上に描くのか、という画家たちの苦悩の末にたどり着いたと
ころがキュビスムというものだったのであろう。この手法はある人物により突然生まれで
たのではなく、紐解いていくと着実に結ばれてきた画家の軌跡があり、何となくではあるが
キュビスムの誕生に納得がいったように思える。しかし、キュビスムの生みの親でもある
ジョルジュ・ブラックに全く焦点を当てることができなかったことが残念であり、詳しく
調べ直したい。

<参考文献>
ニール・コックス『岩波 世界の美術 キュビスム』(田中正之訳)2003,岩波書店
インゴ・F・ヴァルター『パブロ ピカソ』2001,タッシェンジャパン
クラウス・ヘルディンク『ピカソ《アヴィニョンの娘たち》』(井面信行訳)2008,三元社
ダニエル-アンリ・カーンワイラー『キュビスムへの道』(千足伸行訳)1991,鹿島出版会
宇野邦一『反歴史論』2003,せりか書房

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