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2015/08/05

月曜4限概論発表

1回生のグーナーです。
今回は「ネアンデルタール人」で発表しました。

・はじめに
人類500万年の歴史のなかで、ほんの3万年前まで私たち現生人類のほかに系統の違う別の人類が存在していた。そのなかでわたしたちに一番近いとされるネアンデルタール人に興味を持ったので調べてみた。

・形態学的特徴の違い
ネアンデルタール人には現生人類と比べて頭から腰、手足の骨に次のような独特の特徴がある。
 ・頬、上顎骨が前方に平坦
 ・頭蓋骨を後ろから見るとほとんど円形であり乳様突起が小さくイニオン上窩がある
 ・側頭骨の胸骨突起が外耳孔の延長線上に位置する
 ・下顎骨の第三大臼歯と下顎枝との間に空隙が存在する
特にこの頭蓋骨の特徴は際立っており、ネアンデルタール人を独立の種として定義づけている。
 ・眼窩上隆起がある
 ・オトガイがない
 ・大腿骨の骨幹部中央の断面図が円形である(現生人類は扇形)
これらは現生人類には見られないが、より古い段階の人類には見られる。
 ・後頭部の後方への突出
 ・オトガイ孔の数(現生人類:ほとんど一つ/ネアンデルタール人:複数の割合が多い)
これらは現生人類にもみられることがあるがネアンデルタール人にはかなりの頻度でみられる特徴である。
またネアンデルタール人に限らず現生人類と異なっている特徴として、鎖骨が比較的長い、上腕骨の三角筋の付着部が狭い、寛骨の恥骨枝が細長く断面形も扁平であるということがあげられる。

・人類進化上の立ち位置
人類は約500万年前に二足歩行によって類人猿から別れ四つの普遍的進化段階、猿人、原人、旧人、新人と一直線に歩んできたとかつては考えられていた。しかし近年では猿人は複数の種に分類されるといわれており、さらにケニアで三種の人類が同じ場所に生息していたことが発見されこれまでの説は覆されることとなった。現在では環境変化や生息地域拡大による新しい環境に適応するために形態を変化させ、いくつもの種に分化し地球上には常に何種類かの人類が存在していたと考えられる。

・発見とその理解
ネアンデルタール人の人骨は1829年ベルギーで初めて発見され、その後48年にジブラルタルで、56年にドイツで発見されているが、当時はあまり注目されず現代人の骨だと考えられた。しかし、1866年にベルギーで絶滅動物の骨と石器とともに発見された人骨が三番目に発見されたドイツのものと同じだったため、これらの人骨は太古の人々のもだと考えられるようになった。そして1868年にフランスで絶滅動物と石器とともに発見された人骨は現代人の骨とほとんど変わらなかったので現代人の祖先と考えられ、「野蛮なネアンデルタール対知的なクロマニョン」という図式がつくられた。
 1900年にネアンデルタール人の形態学的特徴を明らかにした論文が発表されたが猿人が発見される前であり原人が世間に認められてなかったため眼窩上隆起等の特徴は類人猿に近い証拠とみなされ、さらに使用された人骨が老人だったため年齢による変化を本来のものと見誤り猫背で現生人類の洗練された二足歩行とは違っていたと推測され、ネアンデルタール人は知的能力の著しく劣った野蛮な人類と解釈された。しかしこれらの人骨の詳細な研究によってネアンデルタール人と現生人類との形態学的な差が明確になり、その差の大きさからネアンデルタール人は現生人類の祖先ではなくクロマニョンによって駆逐され、絶滅したもの考えられた。

・継続説、絶滅説
1891年に原人が、1924年に猿人が発見され1980年まで人類の進化段階の代表とされる猿人、原人、旧人、新人が出そろった。そして第二次世界大戦の後、大きな論争が起こることとなる。
 ・継続説:ムスティエ型の石器から技術革新によって縦長の剥片石器を主体とする後期旧石器へと道具を進化させ、それによってそれまで酷使していた歯を使わなくなり突出していた顔が平坦になった、つまり約4万年から3万年前の中期旧石器時代から後期旧石器 時代への技術革新に伴ってネアンデルタール人が現代人に変化したとする説。
 ・絶滅説:イスラエルで現生人類と形質学的にほとんど差がない人骨がネアンデルタール人によって作られたとされるムスティエ型の石器とともに発見されたためネアンデルタール人と現代人が同じ地域で共存していたとし、1987年フランスで典型的ネアンデルタール人の最後の例とされる人骨が3万6千年前の地層から発見されたため現生人類に進化する時間的余裕がないとし、現代人の祖先はヨーロッパ以外のところで誕生し、その後ヨーロッパに移住してネアンデルタール人と入れ替わったとする説。                       
1998年、ネアンデルタール人の骨からのDNAの抽出の成功とその分析により、ネアンデルタール人と現代人のDNA配列に大きな
違いがありその違いが生じるためには55万年から69万年かかると推定された。そのため論拠を4~3万年前の技術革新による形態の変化とする継続説は衰退し、絶滅説の勝利という形で論争は幕を閉じた。

・系統発生
ある生物がどのような生物から枝分かれして進化してきたのかの過程を系統発生という。ネアンデルタール人は氷河に覆われなくなったヨーロッパ、近東、中央アジアの範囲で、年代は約20万年から3万年前のものが発見されている。そして20万年より前のヨーロッパから出土した化石の中にネアンデルタール人の特徴がみられるものがある。
 ・170万年前 グルジア 特徴なし
 ・80万年前  スペイン 特徴なし
 ・50万年前 ハンガリー 特徴なし
 ・45万年前  フランス 特徴有:顔面部
 ・30万年前  スペイン 特徴有:顔面部
ヨーロッパの50万年以上前の化石にはネアンデルタール人的特徴がみられない。したがって50万年前から約20万年前ころまで約30万年近くかかって進化したものと思われる。

・生活について
ネアンデルタール人が生存していた20万年前から3万年前の気候は氷河期と間氷期が交互にあらわれたため、それに伴いネアンデル
タール人も様々な環境に生活していたと思われる。
住居 ・家などの構造物を制作して住んでいたという明確な証拠はない→積極的に洞穴を活用
炉 ・石などを組んだ構造物はなく、焚火した際に焦土となり変色した土と炭化物の単純なもの
  ・イスラエルで同じ洞穴内に無数の炉跡が発見され、人類が頻繁に火を使用した明確な証拠となっている
・調理のためか獣から身を守るためのものなのか用途ははっきりしない
 食 ・洞穴から発見される動物の骨は食用としたものが多いが、木材が少ない地域では燃料として使われた可能性もある
・アカシカ、ガゼル、ノウサギ等中小動物を食料とし、マンモスなどの大型動物はあまり食料としなかったようである
・果実や根菜類は遺跡に残りにくいが人類が植物からエネルギーを大量に取り入れることができるようになったのは土器の発明以降のため植物性の食料の割合は高くなかったと考えられる
狩猟活動 ・組織的な狩猟があったと思わせるような発見がフランスであったので少なくとも屍肉あさりばかりしていたわけではないと考えられる
道具類 ・40万年前のドイツの遺跡から木製の槍が出土していることからネアンデルタール人も石器以外の道具を使っていた可能性は高いが他では見つかっていない。骨角器もいくつか発見されているが発達はしなかったようだ
衣服 ・毛皮などを縫うための針などは発見されていないが、毛皮をなめすのに使ったと思われる石器は発見されている 

・心について
墓/埋葬 1960年代にイラクで埋葬の例が発見されて以来ネアンデルタール人が最初に埋葬を行った人類であると考えられてきたが最近では彼らに墓という認識はなかったと考える説もでている。
否定的意見:完璧なネアンデルタール人の人骨はホラアナグマやハイエナ等肉食獣の生存していなかった地域で発見されることから、自然死したものが偶然食い荒らされずに残った。
しかし
・自然死の場合、軟部組織の腐敗が進むため立体的な骨格は崩れるが、詳細な出土状況が判明していて解剖学的位置関係を保ったまま出土したことが確認できる遺跡がある。
・火山灰の堆積、落盤等の理由で土に埋もれる場合もあるが、洞穴におかれた死んだばかりの死体即座に土に覆われる可能性は低い
などの理由から、埋葬する文化があると考えるのが妥当である。しかし最初の人類かどうかは出土した骨は10万年から4万年のものであり、ネアンデルタール人が解剖学的現代人から学んだか模倣した可能性もあるためはっきりしない。
葬送儀礼 ・頭骨崇拝 ・献花 ・副葬品 角
装飾品/芸術/介護

・言語能力
 ・類人猿の言語能力:訓練によりキーボードを介しての人とのコミュニケーションは可能である。
 ・喉の構造(現代人):発声器官+長い構音器官←二足歩行により獲得
 ・ネアンデルタール人:1971年と85年になされた調査から現代人と同じ喉の構造をしていたと考えられる
 ・脳:頭蓋骨から推定されるネアンデルタール人の脳の大きさは約1500ミリリットルでありこのおおきさは現代人の成人男性に匹敵する。また、脳の中で言葉をつかさどる部分は側頭葉のブローカ野にあり、この部分が発達すると頭蓋骨の内側にくぼみとなって残る。このくぼみはネアンデルタール人より古い原人にもみられるため、ネアンデルタール人はしゃべれたのではないかと考えられる
 ・文化:言語能力の開始は芸術、宗教などの抽象的思考と関連付けて考えられている

・消滅
1987年に現生人類の文化層と考えられていたところからネアンデルタール人の人骨が発見される。さらにその後の発掘調査からそれまでの文化層に関する定説が崩れることとなり、ヨーロッパにおいてネアンデルタール人と現生人類が1万年にわたって共存していた可能性が高くなった。しかし具体的な接触や交流があったかは不明である。
 ネアンデルタール人はヨーロッパに来た現生人類に徐々にその居住地を譲っていき2万7千年前ころに地球上から姿を消しており、この説は一番新しいネアンデルタール人がヨーロッパ大陸最西端イベリア半島サファイラ洞窟から出土していることに支持される。しかし消滅の理由に関してはまだはっきりとわかっていない。

・まとめ
 ・形態学的特徴から現生人類とは違う種であるといえる
 ・現生人類と長期にわたって共存し、文化を模倣した可能性がある
 ・30万年にわたってその特徴を形作っているが、20万年前から3万年前までその形態を変化させていない
 ・なぜ地球上から姿を消したのか、その理由はまだわかっていない

・おわりに
現生人類と同じとき同じ場所にいた唯一の人類ということでしらべていておもしろかったが、ネアンデルタール人がどのようなものだったのかざっくりとしか調べられなかった。参考文献の少なさも踏まえ、つぎはもう少し深く調べるようにしたい。

参考文献
 ・奈良貴史「ネアンデルタール人類のなぞ(岩波書店、2003)

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