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2015/07/29

火曜2限概論発表

3回生のいとーです。
ヒトとアナウサギの関係史について発表しました。ウサギは、世界史を変えた50の動物に数えられるくらい、人間の暮らしに深く関わってきました。

1.はじめに
 飼育書や図鑑によって、アナウサギがヨーロッパ各地に広まった時期や、家畜化が行われた時期が異なっている。中には、「人間にとって、ウサギは猫と同じくらい長い付き合いである」と述べているものもあるが、何を以て、人間とウサギとの関係の始発点としているのか、その主張は正しいのか、人間とウサギの関係の歴史を遡りながら考察してみたい。なお、ここでは、ウサギの中でも、人間と最も縁の深いアナウサギに焦点を絞って見ていく。


2.先史時代
アナウサギの原産地はイベリア半島である。90万年前頃から生息していたとされており、古いもので、60万年前の化石が見つかっている。
ヒトとの関わりはホモ・サピエンス以前からであり、最新の研究では、ネアンデルタール人は、ウサギが狩れずに滅びたのではないかという説がある。
テホやサド盆地の中石器時代(前10000~4000年)の遺跡において、最も多く発掘されている哺乳類の化石はアナウサギである。


4.フェニキア人による生息地拡大
BC1100年頃、イベリア半島に辿り付いたフェニキア人が、アナウサギを見て、「イワダヌキ(shaphan)に似た生き物がたくさんいた。」と記している。以降、イベリア半島は、フェニキア語で「イワダヌキの島の沿岸」を表す“i-shaphan-in”の名で呼ばれるようになり、ラテン語の”Hispania”の語源となった。
フェニキア人はアナウサギを持ち帰り、アナウサギは、フェニキア人の手によって、地中海沿岸地域に広まった。


5.古代ローマにおけるアナウサギ
古代ローマにおける最も古いアナウサギの記録は、BC204年のポリビウスによる記述である。ポリビウスは、コルシカ島のアナウサギについて述べ、'Kunikloi'と呼んでいる。

①アナウサギによる獣害
・バレアリック島
ストラボ(BC63~)が、逃げ出したつがいのアナウサギが引き起こした深刻な獣害問題について記している。バレアリック島への入植者たちは、アウグストゥスに、アナウサギを駆除するための軍をよこすか、どこか別の場所を割り当ててほしいと懇願した。
・タラゴナ
プリニウス(大)(22~79年)が、著書『博物誌』の中で、「ウサギが城壁の地下に穴を掘っているせいで、城壁が危ない。」と記し、ウサギに対し、フェレットを使うよう勧めている。

②アナウサギの飼育
アテナイオスが、ナポリのガルフにあるニシダ島に居ついたおびただしい数のアナウサギについて記していることから、ローマ人は、AD230年頃までに、イベリア半島にいたアナウサギをイタリア半島に持ち帰っていると考えられる。
ウサギはローマ人の好物であり、円周4kmにもわたる屋根付きの囲いを設け、ネコやアナグマ、オオカミ、ワシといった天敵の侵入からウサギを守っていた。


6.中世の修道院と家畜化
5世紀前までに、修道院において、アナウサギの飼育が行われるようになる。生まれる前、または生まれてすぐのウサギは、”Laurices”と呼ばれ、珍味として重宝された。
また、それまでの、野生のアナウサギを囲いの中に放していただけの飼育法に代わり、“Rabbit Courts”、”Walled Garden”が採用されると、身体の大きなもの、毛色の変わったものが好まれ、無意識のうちに選択的淘汰が行われた結果、野生種とは異なる形質が見られるようになった。家畜の定義が、「野生種と品種を異にするまでに淘汰を重ねたもの」であることから、家畜化は、この時期に行われたと考える。
600年、教皇グレゴリウス1世が教皇勅令を出し、「うさぎは肉と見なされない。ウサギは、レントの間も食べることができる。」としたことで、修道院におけるウサギの飼育が盛んになり、本格的な家畜化がはじまった。


7.飼育法の歴史
①Warren
“warren”とは、ノウサギやアナウサギを飼育するために、囲いがされた場所のことを指す。古く、ローマ時代から伝わる飼育法であり、土地を持つジェントリや修道士によって経営されていた。イギリスにおいては、18世紀まで一般的な飼育法であった。
warrenのオーナーにとって、密猟は頭の痛い問題であった。中でも、地元住民による密猟の被害が最も多かった。
 そこで、密猟を禁じるための様々な法律が出されることとなった。ジョージ4世は、1828年に、Night Poachers' Act 夜間密猟法を、ウィリアム4世は、1831年 Game Act 狩猟法を制定した。また、ヴィクトリア1世は、1861年に、the Larceny Act 窃盗罪法を、1862年に、the Poaching Prevention Act 密猟防止法を制定している。

②ラビット・アイランド
湖や川に浮かぶ小さな島にアナウサギを放す飼育法は、数百年にわたり用いられていた。コストがかかるため、その多くが、国王や有力貴族によるものであった。

・ドイツ、メクレンブルクのシュヴェリン湖の島
1407年、スウェーデン王とメクレンブルク公の間の協約の中で、ウサギの飼育のために用られることが確認されている。

・ベルリン郊外のファウエン島
“Kaninchenwerder”「うさぎ島」として知られていた。18世紀のプロイセン王、フリードリヒ・ウィルヘルム1世によって、うさぎの飼育が始められた。

・テムズ川の中洲
エリザベス1世によって、ラビットアイランドとして用いられていた。


8.アナウサギの世界進出
うさぎは手軽なタンパク源であり、船の上で飼育されることもあった。
また、エンダービー島に見られるように、13~14世紀の初期の探検家や、オランダ東インド会社の貿易船によって、海路の主要ルートにある島々に、難破船の乗組員のための食料として、うさぎが放たれた。この前後の時期に、世界中のほぼ全ての島に、アナウサギが定着した。しかし、同時に、アナウサギによる環境破壊も見られるようになった。

・ロビン島
オランダの植民地監督者で、ケープタウンを建設した、ヤン・ファン・リーベックは、1652年、南アフリカのケープタウン沖にあるロビン島に8羽のアナウサギを持ち込んだ。アナウサギは爆発的に繁殖し、1658年には増えすぎたために、島の植物が食べ尽くされ、危険な状態になった。

・ポルト・サンタ島
J ゴンザレス・ザクロは、1418年~1419年に、子育て中のアナウサギを船に乗せて出港。マデイラ諸島(大西洋にあるポルトガル領)の一つ、ポルト・サンタ島にアナウサギを放した。
チャールズ・ダーウィンは、『家畜・栽培植物の変異』の中で、ポルト・サンタ島について言及し、「アナウサギが、とてつもない勢いで繁殖し、人間が生活できなくなったため、島は見捨てられた」と述べている。

・オーストラリア
 1859年、狩猟対象として、オーストラリアにもたらされ、放たれたアナウサギは野生化し、天敵となる生物がいなかったために異常増殖した。粘液腫ウイルスを用いた生態学的コントロール作戦がとられたものの、数年で耐性を獲得し、未だに増え続けている。
環境や農業に多大な被害をもたらすアナウサギは、世界の侵略的外来種ワースト100に選ばれている。


9.まとめ
 イベリア半島の一地域ではじまったアナウサギが、世界中に広まった背景には、フェニキア、ローマ、キリスト教会、そして船乗りたちによる人為的な働きがあった。しかし、アナウサギの生息地が広がったことで起きている環境問題もある。


10.おわりに
 調べた結果から、人間とアナウサギの関係は、①狩猟対象(ホモ・サピエンス以前~)、②野生種の飼育(古代ローマ~)、③家畜化(中世初期~)の三段階に分かれるのではないかと考える。「人間にとって、ウサギはネコと同じくらい長い付き合い」とは言うが、猫がイエネコとして人間と共生関係を築いたのは、農耕がはじまった9000年前頃であり、人間とウサギの歴史に当てはめると、①と②の間の時期である。どちらとも、千年近いタイムラグが存在するため、この主張には疑問を感じる。
 反省点として、西洋におけるウサギの歴史についての先行研究がほとんどなく、史料も少ないため、薄い内容になってしまった。卒論のテーマとしては諦めるのが妥当だということが分かった。


11.参考文献
・エリック・シャリーン 著、甲斐理恵子 訳『世界史を変えた50の動物』原書房、2012年。
・The ARBA,inc. ,Standard of Perfection, The ARBA,inc.,2011.
・野島利彰『狩猟の文化』矢萩多聞、2010年。
・Thompson,Harry V. and Carolyn M.King , The European Rabbit, Oxford University
Press,1994.
・Whitman,Bob D ,Domestic Rabbits & Their Histories, Leathers publishing, 2004.
・Bekoff,Marc ,Encyclopedia of Human-Animal Relationships, Greenwood press,2007.
・町田修『うさぎの品種大図鑑』大熊整美堂、2010年。
・ワールド・ラッビッと・ファンクラブ『うさぎ学A to Z』2010年。

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